南飛烏鵲楼: 書誌

三国志に特化して再開します(2008.04.09)
1 雑劇について

雑劇は、元代に隆盛を見た演劇形式で、
大まかな特徴として以下の点が挙げられます。

(1)歌劇(オペラ)である

(2)4幕構成である
「幕」とは言わず、「折」という術語を用いるのが普通です。
第1折から第4折まであるわけです。
あくまで原則で第5折を有するものもありますし、
「楔子」と称される短い幕間劇が挿入される場合もあります。

(3)1折は一つの組曲からなる。
この組曲を「套数」と称します。
4折構成ですから、1つの雑劇には、
通常4つの套数が用いられることになります。

(4)一人独唱である
例外はありますが、雑劇で唱うのは、
原則的に主役ひとりのみ、です。
(主役が男性の場合、これを正末と言い、
女性の場合、これを正旦と言います)

大きな特徴としては、こんなところでしょうか。
現代からは、一寸、想像しにくい演劇形態ですね。

さて、民間から発生し、民間で流行した雑劇ですが、
明代に入ると、民間では急速に廃れます。
これは、多分に人為的なものでして、
明王朝というのはしばしば演劇の上演禁止令を出しているのです。

では、雑劇が全く上演されなくなったかというと、さにあらず。
雑劇は、明の宮廷で上演が続けられておりました。
つまり、明王朝というのは、雑劇を民間から取り上げて、
宮廷演劇にしてしまったんですな。

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A 脚本の現存する雑劇

 三国志故事の雑劇については、関西大学の井上泰山先生による邦訳、
『三国劇翻訳集』(関西大学出版部、2002年3月)があります。
本ブログではこの本を参考にしつつ、梗概を示すことにします。
題が黄色になっているものは梗概が完成しています。
(題をクリックすると梗概へ飛びます)

01 劉関張桃園三結義
02 張翼徳大破杏林荘
03 虎牢関三戦呂布
04 張翼徳単戦呂布
05 錦雲堂美女連環記
06 関雲長単刀劈四寇
07 張翼徳三出小沛
08 莽張飛大鬧石榴園
09 関雲長千里独行
10 関雲長義勇辞金
11 劉玄徳独赴襄陽会
12 諸葛亮博望焼屯
13 酔思郷王粲登楼
14 劉玄徳酔走黄鶴楼
15 両軍師隔江闘智
16 周公瑾得志娶小喬
17 曹操夜走陳倉路
18 陽平関五馬破曹
19 走鳳雛龐掠四郡
20 関大王独赴単刀会
21 寿亭侯怒斬関平
22 関雲長大破蚩尤
23 十様錦諸葛論功

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表紙に至治新刊という文字があり、これを素直に信じるならば、
西暦1321年から1323年の間に刊行されたことになります。