南飛烏鵲楼

三国志に特化して再開します(2008.04.09)
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 477-505頁掲載。

 貂蝉をめぐる議論というのは、ここ最近『演義』研究の一つのトレンドになっているようで、
特に、関羽が貂蝉を斬るという演劇をめぐる論文が幾つか発表されています
(『論集』に収録されている大塚先生の論文など、「関羽が貂蝉を斬るのはなぜか」
というそのものズバリのタイトルです)。
 この問題について議論される際、まず注目される点として、『演義』とは異なり、
『平話』や雑劇では、元来、呂布の妻として設定されていることがあります。
二人は戦乱で離れ離れになり、貂蝉は王允に庇護され、「連環計」に「利用」されるわけです。
 『演義』の貂蝉が広く知られているがゆえに、『平話』や雑劇のこの設定は「新鮮」であり、
貂蝉の最期と合わせて様々な議論を喚起するのだと思います。
 ただし、その際、『演義』の貂蝉が何故呂布の「妻」では無くなったのか、という点は
等閑視されてきたような印象があります
(勿論、貂蝉関係の論文を全部読んだわけではありませんが)。
 つまり、『演義』に先行するテキストに注目するあまり、『演義』が等閑視されるという、
日本における正史と『演義』の関係と似たような関係が存在していたわけです。
 仙石氏の論文は、正しくこの等閑視されていた点に注目したものであり、
『演義』の貂蝉は何故妻では無く、王允の歌伎となったかの説明を試みています。
[仙石知子「毛宗崗本『三国志演義』に描かれた女性の義-貂蝉の事例を中心として-」]の続きを読む
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去年の大会は行けませんでしたが、
今年は行ってきました三国志学会
盛り上がりは今ひとつだった気もしますが、
その辺も含めて、大会レポートはまたそのうちに。

で、自分的には今回のメインは
この『狩野直禎先生傘寿記念三国志論集』
(長いので以下『論集』)
定価8000円が三国志学会会員だと5000円、
大会当日会場で買うと4000円でした。
てっきり汲古書院の発行だと思ったら、
発行は三国志学会で発売が汲古書院でした。
というわけで、おそらく一般書店には並ばないと思われます。

ここから書評。まず、書誌から。
三国志学会。2008年9月14日発行。583頁。

論集なので、全体的な書評というのは変ですね。
以下、収録論文を掲げておきます。

[三国志学会編『狩野直禎先生傘寿記念三国志論集』]の続きを読む
02 張翼徳大破杏林荘

題目 皇甫嵩復奪[亠兌]州府
正名 張翼徳大破杏林荘
簡名 杏林荘

雑感
 殿頭官というのは、明代の朝廷で上演されていた雑劇によく出てきます。
テキストだけ見るとよく判らないんですが、実質、皇帝の代理人の役廻り。
明の朝廷で上演されていたということは、皇帝の眼前で上演されているわけで、
その前で皇帝が出てくるのは如何にも拙いという配慮ですね。
 張表は「張梁」なんでしょうね。「表」と「梁」じゃ音も大分違うし、
何で「張表」になっているのかは想像がつきませんが。
 色々と興味深い点は多い雑劇ですが、3点だけ挙げておきます。

(1)すでに劉備軍団が完成していること。
  史実的あるいは『演義』的には、劉関張と簡雍はともかく、
  黄巾討伐の段階で、麋竺麋芳が麾下にいるなんてことがあるわけがない。

(2)群雄の地位
  皇甫嵩は不明。曹操はエン州太守。袁紹が河北冀王。袁術が淮南王。孫堅が長沙太守。
  これも全くの史実無視。かろうじて孫堅の長沙太守だけ、史実に近いと言えなくもないが、
 孫堅が長沙太守になったのは、黄巾主力平定後。袁紹や袁術に至っては何をかいわんや。
  しかし、袁紹が冀王だったり、袁術が淮南王だったりする設定は、
 他の雑劇や『三国志平話』などにも共通する設定。
  要するに『演義』以前の三国志物語世界では、各地に「王」が居て、
 漢帝国を分割統治しているわけですな。
  この辺り、三国時代ではなく元あたりの政治状況の反映なのかも知れません。

(3)〔[冫爭]〕孫堅
  〔[冫爭]〕(ジョウ)というのは、雑劇における道化役。
  孫堅は、雑劇では一貫してこの道化役を割り振られ、
 この「杏林荘」でも、第一折でジョウであることが明記されています。
  ただ、この雑劇における孫堅は道化役らしいところは一切ありません。
  これは、テキストを書いた人間か、書き写した人間が、テキスト内容を
 よく読まず、「孫堅といえばジョウ」という決まり事だけが頭にあったんでしょうね。
  逆に言えば、そのくらい孫堅=道化役という図式が定着していたわけです。
  道化役孫堅の本領(笑)は、「03虎牢関三戦呂布」「04張翼徳単戦呂布」で発揮されます。
[張翼徳大破杏林荘]の続きを読む
01 劉関張桃園三結義

題目 英雄漢[シ豕]郡両相逢
正名 劉関張桃園三結義
簡名 桃園三結義

雑感
 張飛が肉屋だと言うのは、『三国志演義』にもチラッと出てくるネタ。
屠殺業というのは、中国(に限らないけど)では被差別民の職業で、
張飛が肉屋だという設定は、三国志の物語、特に張飛を主役と
するような話は兵士を始めとする被差別民の間で語られていたからだ、
という説がありますね。
 関羽と張飛の出会いのシーンは、中央電子台のTVドラマ『三国演義』も
継承されています。ドラマでは、張飛と関羽の喧嘩を劉備が「力尽く」で
止めるという展開で、考えてみると無茶な話だ。死んじまうぞ、劉備。
 最後に皇甫嵩が出てくるのは伏線。この話の続きに相当する、
「張翼徳大破杏林荘」では、黄巾賊討伐の総大将として皇甫嵩が登場します。
[劉関張桃園三結義]の続きを読む
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