南飛烏鵲楼

三国志に特化して再開します(2008.04.09)
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 『三国志平話』冒頭に置かれている転生譚ですが、以前に言及したように『五代史平話』冒頭にごく簡単に触れられている他、『古今小説』(のちに「三言」という短篇小説シリーズに組み込まれ『喩世明言』と称される)という短編小説集の第31巻に「鬧陰司司馬貌断獄(陰司をさわがして司馬貌、獄を断ず)」という題で収録されています(原文の電子テキストは結構web上に落ちてます。ココとか)。

 主題は無論、前漢功臣の三国への転生なのですが、細部にかなりの異同があるので、それを中心に紹介してみたいと思います。

 まず、物語の時間が『三国志平話』は後漢光武帝の治世であるのに対し、「鬧陰司司馬貌断獄」(以下「鬧陰司」)では同じく後漢ながら、時代はグッと下がって霊帝の世、つまり三国時代の直前に設定されます。

 主人公の名も変わっています。『平話』では姓が司馬、字が仲相ですが(名は不明)、「鬧陰司」では、姓は司馬のままですが、名は貌、字は重湘となっています。「仲相」と「重湘」は同音かあるいは極めて近い発音だと思われます。

 で、この司馬貌、才がありながら運が無く世に出ることができず、すでに齢五十に達しておりました。そこである時、酒に酔った勢いで天を怨む「詞」を書いてしまいます。それが天上の玉帝の耳に入ったから、さあ大変、激怒した玉帝は司馬貌を罪に問い、召喚します。そして、問答無用に地獄に落とされるところでしたが、太白金星の取りなしによって、半日の間、陰司(冥界の裁判所)の長官(早い話が閻魔大王)の代理を務め、そこで才を示したらば来世の富貴が約束され、さもなくば未来永劫人間には生まれ変われない、という無茶な条件で働かされることになります。

 さて、司馬貌、才あるだけあって一計を講じます。ただ、漫然と案件を待っているのではなく、陰司で未解決となっている案件を解決することで才を認めさせようというのです。
 そこで下役人が持ってきたのが、以下の4つ。

(1)忠臣を冤罪にて殺した件(屈殺忠臣事)
原告:韓信・彭越・英布  被告:劉邦・呂氏

(2)恩を仇で返した件(恩将仇報事)
原告:丁公  被告:劉邦

(3)権力を恣にして帝位を奪った件(専権奪位事)
原告:戚氏  被告:呂氏

(4)危難に乗じて寿命を縮めようとした件(乗危逼命事)
原告:項羽  被告:王翳・楊喜・夏広・呂馬童・呂勝・楊武

マイナーメジャーひっくるめて、楚漢抗争オールスターという趣ですが、ここに蕭何みたいな超大物まで証人喚問した上で、司馬貌は原告と被告に何故か証人まで加えて、以下のように転生させるという判決を下します。
順序はテキスト中に示される通り。

韓信=曹操
劉邦=献帝
呂氏=伏皇后
蕭何=楊脩
英布=孫権
彭越=劉備
蒯通=諸葛亮

 蕭何=楊脩を除けば、『三国志平話』と一致。
 『三国志平話』はここで終りなわけですが、「鬧陰司」はまだまだ続きます。

許復=龐統
樊噲=張飛
項羽=関羽
紀信=趙雲
戚氏=甘夫人

と、蜀陣営が続いた後、

丁公=周瑜
項伯=顔良
雍歯=文醜

 項伯と雍歯は項羽に仇なしたため、その転生たる関羽にぶった斬られる役どころ。

楊喜=卞喜
王翳=王植
夏広=孔秀
呂勝=韓福
楊武=秦
呂馬童=蔡陽

と、これは関羽の「五関斬六将」の被害者(笑)。
 以上が司馬貌の下した判決の内容。これに感心した玉帝は司馬貌自身は来世で司馬懿に転生し富貴を得ることを約束し、物語は団円となります。

 『三国志平話』の転生譚より完成度は格段に高まっており、読んでて面白い話です。
 まあ、あからさまに『演義』の影響を受けている作品でもあるわけですが。(了)

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