南飛烏鵲楼

三国志に特化して再開します(2008.04.09)
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正字と俗字、旧字と新字(二)の続きです。

 当用漢字の導入が、「漢字としての字体の不統一」と「漢字を表意記号として劣化させる」事態を招いたと書きました。まず、後者について書いておきたいと思います。
 前回、示したように当用漢字はまず、1946年に字数制限が導入され(この段階でも幾つか略字が認められていますが、同時に旧字体の使用も認められている)、1949年に新字体の導入が行なわれています。この第2段階以降、原則的に(特に法令・公的文書・新聞・雑誌では)新字体のみ使用が認められることになります。

 さて、日本最古の公開図書館として知られる「芸亭」というものがあります。私自身も、高校時代に、日本史の授業で知識として詰め込まれた記憶があります(何年前のことかはさておき)ので、多くの人がご存知かとは思いますが、これは「ゲイテイ」では無く、「ウンテイ」と読みます。
 これは(Wikipediaにも書いてありますが)「芸」という字に「ゲイ」「ウン」という二種類の字音があるわけではなく、「芸」という字はそもそも「ウン」としか読みません(でした)。先述した1949年の当用字体表の導入に拠り、「藝」の新字体が「芸」に定められてしまったため、そもそもあった「芸」と衝突することになっちまったわけです。
 「ウン」なんて音は「芸亭」にしか使わないじゃないか、とおっしゃるかも知れませんが、この「芸」という字、例えば現代中国人の名にもよく使われます。「藝」という字も結構見ます。これの区別が当用漢字字体表ではつかなくなってしまう。これは「劣化」でしょう(実際、現代中国語の簡化字では「藝」は「くさかんむり」の下に「乙」と書き、「芸」とは書きません。字音・字義がそもそも違うので、当然なのですが)。

 字音・字義が違うのに、一字に統一されてしまった例としては、他に「糸」「虫」があります。「糸」は本来「ベキ」と読み、「虫」は「キ」と読みます。今日、これを我々が「シ」「チュウ」と読むのは、「糸」「絲」、が「虫」には「蟲」が、統一されてしまったことに拠ります。
 しかし、この2例については、最初の当用漢字表の段階から許容されている、つまり古くから使用されている例だと思います。しかし「芸」については、1949年の段階で、お上のお達しで急に決められたものであり、「漢字を表意記号として劣化させる」という点で罪深いとは言えるでしょう。
 ただ、「芸(ウン)」の使用頻度を考えれば、さほど大したことではないとも言えます。実は、当用漢字の導入に拠って「当て字」が山程生まれたことの方が餘程問題かも知れません(まだまだ続く)。 → 「氾濫する当て字」

附記:この内容は、(まあどんなことでもそうですが)「知っている人は知っている」内容です。ただ、「知らない人は知らない」のも確かなので、覚書として残しておきます。
              → 08.11.04 追補しました

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