南飛烏鵲楼

三国志に特化して再開します(2008.04.09)
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さて、『三分事略』のトンデモ無さについての続き。前項は → コチラ

天理図書館の蔵本には8葉(16頁分)の缺落があります。全体が69葉(137頁)しかない中での16頁なので、1割強ほど缺けていることになります。

缺葉という現象そのものは、何せ古い時代の本ですので、差程異とするに当たりません。流通過程で缺けた例は枚挙に暇がありません。例えば、『三国志演義』のエディションの一つ、葉逢春本は、スペインにあるものが現存唯一のもののですが、全10巻中、3巻と10巻が無い、という状況だったりします。

しかし、『三分事略』の場合、このような流通過程における缺落ではない可能性が高いように思われます。

まず、『平話』と比較して、缺けている8葉の場所を確認すると、

(1)巻上の第20・21・22葉
(2)巻中の第21・22葉
(3)巻下の第19・20・21葉

『平話』で言えば、上記の3箇所に相当する部分が缺けているのが判ります。これだけでも「何や似たような場所が缺けているなあ」という印象がありますが、後ろから数えると「似ている」どころの騒ぎではなく、

(1)巻上は最終葉の直前3葉
(2)巻中は最終葉の直前2葉
(3)巻下は最終2葉の直前3葉

が抜けていることになります。つまり、基本的に最後の1葉はちゃんと残っているのに、その直前2~3葉が缺けているわけです。これはどう考えても意図的だろ。流通過程で「缺けてしまった」のではなく、端っから「缺いてある」、つまりもともと印刷しなかったとしか思えない。

一説に「製本過程で脱落した」、つまり落丁だと言うんですが、それは少し無理があるのでは。というのも、『事略』巻上の最終葉の葉数表記が「二十」になっているんですな。もしも、ちゃんと印刷してあって、落丁で抜けたのなら、ここは「二十三」でなければおかしい(事実、『平話』巻上の最終葉には「二十三終」と彫ってあります(リンクの画像参照。左下に葉数表示あり)。↓
http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~nikaido/san023.JPG

何で、こんな阿呆なことをしているかと言えば、「コストダウン」の一語に尽きます。版木代も紙代も一割以上安くなるんですから、本屋としては万々歳です。た・だ・し、買った人間は災難ですが。

何故かというと、これだけ缺落が有るんです。ストーリーがわかりません(涙)。例えば巻上だったら、呂布が劉備を頼って徐州に来てから半年後、袁術の息子袁襄が攻め寄せてきたので張飛がこれを殺した……と思ったら、次の頁では、捕虜になった陳宮が曹操の面前に引き出されている、という具合です。

こんな本でも平気で出版されてしまうのも、元明の出版事情の恐ろしさ(笑)を物語っています。(了)

参考文献は「『三分事略』について」と同じです。

   → 『三国志平話』へ戻る
   → 総目次へ戻る

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