南飛烏鵲楼

三国志に特化して再開します(2008.04.09)
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別院ばっか更新してましたが、こちらもボチボチと。
凡例:赤=主語 黄=述語 シアン=目的語 白=その他
   毛本の訓読は井波律子訳に拠る。李本は私訳。

[第31回]
李:曹操 倉亭  袁紹   (曹操 倉亭にて袁紹を破り)
  劉玄徳 敗走 荊州    (劉玄徳 敗れて荊州に走る)
毛:曹操 倉亭  本初   (曹操 倉亭にて本初を破り)
  玄徳 荊州  劉表   (玄徳 荊州にて劉表に依る)
〔毛本の前半は李本の前半をほとんどそのまま採用しながら、「袁紹」を字の「本初」に改める。これは袁紹への敬意というよりは、後半とのバランスをとるためだろう。前半は「曹操」(姓名)と「本初」(字)、後半は「玄徳」(字)と「劉表」(姓名)。無論こんなタスキ掛けにせず、姓名なら姓名、字なら字で揃えた方が対句としてのデキはいいんだろうけど、最早曹操を字で呼ぶことに躊躇があるので苦肉の策、と言ったところか。〕

[第32回]
李:袁譚 袁尚  冀州   (袁譚 袁尚 冀州を争い)
  曹操    冀州   (曹操 水を決して冀州を■う)
毛: 冀州 袁尚    (冀州を奪いて袁尚 鋒を争い)
   漳河 許攸    (漳河を決して許攸 計を献ず)
〔李本の前半は凄く解り易いんだけど、毛本は対句にするという原則というために、内容が解り難くなっている気が。袁尚しか出てこないから一瞬「?}ってなる。後半の主語が曹操から許攸に変わっているのは、袁尚みたいな小者は許攸で充分ってことかしら(笑)。ちなみに許攸、次の回で許[ネ'者]に殺されます。〕

[第33回]
李:曹操    壺関  (曹操 兵を引きいて壺関を取り)
  郭嘉    遼東  (郭嘉 計を遺して遼東を定む)
毛:曹丕    甄氏  (曹丕 乱に乗じて甄氏を納め)
  郭嘉    遼東  (郭嘉 計を遺して遼東を定む)
〔ここは面白い。李本の段階で綺麗な対句になっているので、毛本も後半はそのまま採用。しかし前半は書き換え。その結果、「壺関」「遼東」と地名で揃っていたのが崩れている。逆に言うと、揃った対句を崩してまで表現したいものが毛本にはあったわけだ。それは何かと考えるに、「曹丕への批判」なんだろうなあ。第20回で確認した通り、毛本の曹操への評価というのは、漢室匡輔が見せかけに過ぎないことが露見したところでガラッと変わる。となると、実際に帝位を簒奪した曹丕は父親以上に批判すべき対象。それゆえの前半書き換えなのだろう。〕

[第34回]
李:劉玄徳 襄陽     (劉玄徳 襄陽に会に赴き)
  玄徳    檀渓  (玄徳 馬を躍らせて檀渓を跳ぶ)
毛:蔡夫人    密語 (蔡夫人 屛を隔てて密語を聴き)
  劉皇叔    檀渓 (劉皇叔 馬を躍らせて檀渓を過る)
〔毛本前半は蔡夫人が主語になるけど、本文の中で差程存在感を示すわけではないのが面白い(この回の悪役は圧倒的に蔡瑁だろう)。この劉備暗殺を目論む宴会は、雑劇の世界なんかでは「襄陽会」と称されていて、李本前半に「襄陽」という地名が出てくるのはその名残でしょう。雑劇の題名と『演義』の回目にも何か関係があるかも。〕

[第35回]
李:劉玄徳  司馬徽    (劉玄徳 司馬懿に遇い)
  玄徳 新野  徐庶   (玄徳 新野にて徐庶に遇う)
毛:玄徳 南漳  隠淪   (玄徳 南漳にて隠淪に逢い)
  単福 新野  英主   (単福 新野にて英主に遇う)
〔「南漳」なんて地名あったかと思って本文検索してみると、確かに一回だけ出てくる。しかし、これを回目に採用するか? 対句にするのも大変。李本と対照すれば明らかですが、毛本の「隠淪」は司馬徽、「英主」は劉備を指す。しかし徐庶は劉備を待ちかまえていたわけであって、「遇」(たまたまであう)では無いと思うのだけれど。〕

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