南飛烏鵲楼

三国志に特化して再開します(2008.04.09)
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 集英社文庫。2006年10月25日第1刷。388頁。


個人的評価 A+


大傑作。(この間も同じ語彙で表現した気が)
って全十九巻の第一巻を読了しただけで断言するのは無謀ですが。
まあ、今更私が褒めても貶しても評価はゆるがない作品でしょう。

実は小学生の頃は『三国志演義』 よりも『水滸伝』が好きであった。
基本的にイヤな子供だったので、一〇八星とか覚えて悦に入っていたのですな。


なので、当然、北方謙三氏の『水滸伝』は気になっていたのですが、
基本的に娯楽のための書籍は図書館で借りずに自腹切って買う主義なので、
(でも単行本買うほど裕福でもないので;苦笑)
文庫本を心待ちにしておりました。


期待に違わぬというか、期待以上の傑作。


宋江と晁蓋を「革命を志し、その実行を緻密に考える者」として設定した段階で
この小説の成功は約束されたようなものでしょう。


さらに宋江・魯智深・林冲といった主役クラスはいうに及ばず、
本家『水滸伝』では数合わせの存在としか思えない薛永とか焦挺まで、
キャラクター付けされているのは「見事」というしかない。


正に「換骨奪胎」というに相応しい作品。


特に感心したのは章の標題。「天コウの星」から始まって「天孤の星」「天罪の星」と
続いてゆくわけですが、これ、『水滸伝』を知っている人なら一目瞭然、
梁山泊の好漢一〇八人に転生した星の名から取ってます。
そして、章題に掲げられた星の好漢が、(基本的に)その章の主人公となって
物語が展開してゆきます。
つまり、本家『水滸伝』と同じく銘々伝の形式なわけですが、
銘々伝でありながら、大河ドラマとして展開しているのは想像を絶する筆力。
この調子で一〇八人全員について語られれば古今未曾有の力業。
(単行本はとっくに完結しているので確認すれば判るのですが、
あえて今後の楽しみということで)


折角なので、この巻の章題と、その星の転生たる好漢を列挙しておきます。


「天コウの星」……本来は「玉麒麟 盧俊儀」の星ですが、一〇八人の中、
           上位三十六人をまとめて「天コウ星」とも言うので、ここでは
           そちらの意味なのでしょう。盧俊儀出てこないし。序章。
「天孤の星」……花和尚 魯智深
「天罪の星」……短命二郎 阮小五
「天雄の星」……豹子頭 林冲
「地暴の星」……喪門神 鮑旭
「天微の星」……九紋竜 史進
「地囚の星」……旱地忽律 朱貴
「地霊の星」……神医 安道全


話としては林冲の脱獄までなので、百回本『水滸伝』では第十二回ぐらいに
相当。細部は全然別物だが、王進・史進・林冲・魯智深が出てきているので
本家の序盤の主要人物はちゃんと出揃っている。 
その一方で、やたら位は高い癖に出番の遅い宋江(第一位、本家初登場は第十八回)やら
盧俊儀(第二位、本家初登場は第六十回)やらも主要人物として登場。
本当に神経の行き届いた小説だと思う。


今後、毎月一冊発行予定とか。長いこと楽しめそうです。


 

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コメント
この記事へのコメント
>>北方「水滸伝」
ははは、買って来ちゃいました(お
いつ読めるかは判りませんが、とりあえず積み。
2006/12/23(土) 02:56:38 | URL | オジオン #-[ 編集]
>>オジオンさま

こちらこそご無沙汰しております。
私は恥ずかしながら『楊家将』未読です。
読もう読もうとは思っているのですが。

『水滸伝』、原作も大部ですからねぇ。
ただ先に北方『水滸伝』読んでしまうと、
原作の方は相当読むのが辛くなる気はします。

当たり前の話ですが、
現代日本人が読む小説としては、
北方版の方がはるかにデキがいいので。
2006/12/22(金) 05:58:58 | URL | たけ #-[ 編集]
お久しぶりです。
北方作品は中学の時に読んだ『破軍の星』(北畠顕家)が最初でしたが、それ以降は『三國志』・『楊家将』としか読んでいませんね~
しかし、どの作品も素晴らしい出来だったと思いますので、『水滸伝』も良くできていると思います。・・・かく言う私は実は『水滸伝』をほとんど全く知らなかったりします。
せっかく文庫になっているようですから、チャレンジしてみるのも良いかも知れませんが、原点を知っているからこその楽しみ方もありそうで、迷うところですね~

>>単行本
『楊家将』の続編が出ていますが、やはり高いですね(-_-;)
図書館で借りて、二年後くらいに文庫で回収するしかないですね。
2006/12/22(金) 00:48:17 | URL | オジオン #-[ 編集]
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北方謙三北方 謙三(きたかた けんぞう、男性、1947年10月26日 - )は日本の小説家である。佐賀県唐津市生まれ。芝中学校・高等学校を経て、中央大学法学部卒業。 中央大学在学中に、「明るい街へ」で賞を取り、その後純文学作品を書きつづけるが、発表できた作品は、数作
2007/03/09(金) 03:14:44 | ミステリー館へようこそ
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