南飛烏鵲楼

三国志に特化して再開します(2008.04.09)
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集英社文庫。2007年2月25日第1刷。390頁。
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衝撃の第5巻。


※以下、かなりのネタバレを含みます。未読の方は注意!!

まずは章立てから。


「地進の星」……出洞蛟 童威
「地闘の星」……火眼狻猊 飛
「地会の星」……神算子 蒋敬
「地空の星」……小覇王 周通


楊志死す。

青蓮寺の闇の軍に襲われての暗殺。
青蓮寺の存在そのものがオリジナルである以上、
当然、原作にはこんな場面はない
(というか第5巻全編を通じて原作に準じている
箇所を探す方が難しい)。
ちなみに原作では第百十二回にて病歿。
戦死ですらない。


楊志暗殺後の青蓮寺による二竜山・桃花山への攻撃で、
石秀と周通も戦死。
ただ、この二人の死についてはやや納得いかない。
要塞の攻防で防禦側の総大将が戦死するような状況だったら
普通は陥落するだろう。
青蓮寺のツメが甘すぎる。


ちなみに原作の石秀は龐万春の軍によって、
嶺関の戦いで射殺(百十八回)。
ちなみに、この時、史進・陳達・楊春・李忠・薛永も一緒に射殺。

周通は天閏の一刀の下に斬殺(百十五回)。


いずれも全然シチュエーションが異なるが、
百八星が揃うのをまたずに好漢が死んでゆくという、
北方版の方が圧倒的な迫力を持つ、と思う。
原作はそれまで、対遼・対田虎・対王慶という3つの戦いを経ても
一人の好漢も死ななかった癖に、最後の方臘討伐で
実に五十八人が戦死あるいは梁山泊軍を離れる。


不自然だろう、それ。


現代人の感覚でモノを言っているのは百も承知。
言いたいのは、『水滸伝』そのものが現代人の鑑賞には
耐えられない部分が多々存するということ。
(400年以上も前の作品なんだから当然なのだが)
北方版は、上記のような原作の弱点を、
早々に楊志のような超重要人物が暗殺されるという
大事件を起こす事によって見事に克服している。


大事を為そうとする以上、人の死は避けられない。


この事実こそ、『水滸伝』の好漢たちが為そうとしていることの
「重さ」を表現しているのだと思う。


以下、蛇足。
原作を超越した部分ばかりを取りあげましたが、
原作へのリスペクトも健在。


一番感心したのは、
魯智深を助け出して海を漂流していた飛が、
眠らないために塩を自分の眼に刷り込み、
それがために眼が赤くなってしまい、
そのまま治らなくなってしまったというくだり。


「火眼狻猊」の渾名が示す通り、
原作でも飛の眼は赤いことになっている。
ただ、原作では何故赤いかということについては、
一切説明がないのだが、北方版はそれについて
ある程度納得できるような説明を準備しているわけだ。


とにかく、改めて北方氏の筆力を思い知らされた第5巻。

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