南飛烏鵲楼

三国志に特化して再開します(2008.04.09)
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02 張翼徳大破杏林荘

題目 皇甫嵩復奪[亠兌]州府
正名 張翼徳大破杏林荘
簡名 杏林荘

雑感
 殿頭官というのは、明代の朝廷で上演されていた雑劇によく出てきます。
テキストだけ見るとよく判らないんですが、実質、皇帝の代理人の役廻り。
明の朝廷で上演されていたということは、皇帝の眼前で上演されているわけで、
その前で皇帝が出てくるのは如何にも拙いという配慮ですね。
 張表は「張梁」なんでしょうね。「表」と「梁」じゃ音も大分違うし、
何で「張表」になっているのかは想像がつきませんが。
 色々と興味深い点は多い雑劇ですが、3点だけ挙げておきます。

(1)すでに劉備軍団が完成していること。
  史実的あるいは『演義』的には、劉関張と簡雍はともかく、
  黄巾討伐の段階で、麋竺麋芳が麾下にいるなんてことがあるわけがない。

(2)群雄の地位
  皇甫嵩は不明。曹操はエン州太守。袁紹が河北冀王。袁術が淮南王。孫堅が長沙太守。
  これも全くの史実無視。かろうじて孫堅の長沙太守だけ、史実に近いと言えなくもないが、
 孫堅が長沙太守になったのは、黄巾主力平定後。袁紹や袁術に至っては何をかいわんや。
  しかし、袁紹が冀王だったり、袁術が淮南王だったりする設定は、
 他の雑劇や『三国志平話』などにも共通する設定。
  要するに『演義』以前の三国志物語世界では、各地に「王」が居て、
 漢帝国を分割統治しているわけですな。
  この辺り、三国時代ではなく元あたりの政治状況の反映なのかも知れません。

(3)〔[冫爭]〕孫堅
  〔[冫爭]〕(ジョウ)というのは、雑劇における道化役。
  孫堅は、雑劇では一貫してこの道化役を割り振られ、
 この「杏林荘」でも、第一折でジョウであることが明記されています。
  ただ、この雑劇における孫堅は道化役らしいところは一切ありません。
  これは、テキストを書いた人間か、書き写した人間が、テキスト内容を
 よく読まず、「孫堅といえばジョウ」という決まり事だけが頭にあったんでしょうね。
  逆に言えば、そのくらい孫堅=道化役という図式が定着していたわけです。
  道化役孫堅の本領(笑)は、「03虎牢関三戦呂布」「04張翼徳単戦呂布」で発揮されます。
第1折 
  〔正末〕張飛  〔冲末外〕殿頭官(領祇候)  〔[冫爭]〕孫堅  
  〔その他〕皇甫嵩 曹操 袁紹 袁術 劉備 関羽 簡雍 麋竺 麋芳
 

 殿頭官の招集により皇甫嵩を総大将とする諸侯連合軍が組織され、
劉備・関羽・張飛もこれに参加する。

第2折
  〔正末〕張飛(領卒子)  〔[冫爭]〕張表 張宝 孫堅  〔外〕黄巾賊張角(領小僂儸) 
  〔その他〕皇甫嵩 曹操 袁紹 袁術 劉備 関羽 簡雍 麋竺 麋芳


 張飛は単騎で黄巾賊の本拠である杏林荘に乗り込み、そこで大暴れして黄巾賊を追い出す。

第3折
  〔正末〕張飛(領卒子)  〔[冫爭]〕張表 張宝 孫堅  〔外〕黄巾賊張角(領小僂儸) 
  〔その他〕劉備 関羽 簡雍 麋竺 麋芳

 黄巾賊は杏林荘を放棄してエン州に籠城する。
 劉備軍はエン州に至り、籠城策を用いる黄巾に対し、
張飛が「馬を下りて洗う」策を提案。
 黄巾はこれにおびき出され、城外の伏兵により壊滅させられる。

第4折
  〔正末〕張飛(領卒子)  〔冲末外〕殿頭官(領祇候)  
  〔[冫爭]〕張表 張宝 孫堅  〔外〕張角  
  〔その他〕皇甫嵩 曹操 袁紹 袁術 劉備 関羽 簡雍 麋竺 麋芳
   

 張飛らは殿頭官の前に凱旋し、黄巾賊の首魁・張角三兄弟を斬る。

 (08.09.16 初稿)

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